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【読み物】弥涼暮れゆく空宙の向こうに・4 byすずきささ

  1. 2014.06.12(木) _09:12:00
  2. 小説
  3.  トラックバック:0
  4.  コメント:2
 




強くなりたい。

私は、強くならなきゃいけないんだ。


 


もっと、もっと、もっと――!!!


 


陽の光が積もった雪にキラキラと反射してまばゆいナベリウスの凍土の中、その一心でカタナを振るう。

ジャストヒットとか、ガードとかもうそんなものもどうでもいい。

一秒でも早く、一体でも多く、敵を殲滅する強さが欲しかった。


 


ソルさんとアイシャさんのふたりを見て少しだけ感じた気持ちと、燈月のお兄さんを想っていた気持ちを重ねてしまったせいで、やっと見ることの少なくなっていたあの悪夢としか思えない現実の夢を、再び毎夜見るようになってしまっていた。


あの日の事は忘れていたわけじゃない。


けれど、半ば強制的に繰り返される日常を重ねて、心も半分くらいは大人になって、あの日の事を胸の底にしまうことができていただけ。

きっかけがあれば全部引きずり出されて、頭の中を占領して消えなくなる。

そして、いろいろな罪悪感が私を責め立てる。




あの日、お兄さんの大切なお姉さんは、こちらに向かっている途中だったはず。

私たちの住むエリアに来るには、大きなターミナル駅で乗り換える必要があった。

あの時お兄さんの言っていた「一番爆発の大きかった方」とは、そのターミナル駅を中心にした広い範囲だった事をアークスの研修中の授業で知った。


お兄さんは、きっとそっちに行きたかったはずなんだ。


でも、私たちがいるから、行かなかった。


私たちを探しに来てくれた。


そして、命を落とした。


最期に、大切なお姉さんに会うことなく――。


私たちのシップで生き残ったのは十人の子供だけ。

だから、お姉さんもお兄さんに会うことなく逝ってしまった。


(私が、来てほしくないなんて思ったから!)


力任せにイエーデを斬りつける。

けれど、倒しきれなくてまともに反撃を受けてしまった。

背中から地面に叩きつけられ、骨が軋む。


「ぅぐっ!……げほっげほっ」


こんなんじゃ、全然ダメだ。




それから。

あの日、お兄さんが死んでしまったのは私のせい。




お兄さんの背後から飛びかかろうとしたダガンを、私は足元に落ちていた支柱で殴りつけた。

倒せるとか考えたわけじゃない。

ただお兄さんの助けになりたかった。

でも、慢心があったと言われたら否定できない。

私は両親の勧めで剣術を習っていて、同い年だったら男子にだって負けたことはなかったから。


お兄さんの助けになれるかもって、心のどこかで思っていたんじゃないかって、自分で自分を疑っている。


私がバカだったから。

私が役に立たなかったから。

お兄さんは死ななくて済んだかもしれないのに、死んでしまった。

私をかばったせいで……。


だから強くなりたい。


大切な人を守れるように。

大切な人と、肩を並べて戦えるように。


「だから、こんな程度じゃ全然ダメなのにっ!」


心が焦るばかりで何もうまくいかない。

通信機からミッション失敗を通知するメロディが流れて、私はキャンプシップに強制収容された。


疲労感ばかりで何も得られず何も考える気になれない。

とぼとぼとアークスロビーを横切っていると、ちょんちょんっと肩を突かれた。

思わずそれに反応して振り向くと、「ふに」っと私の頬に何かが刺さった。


「いっすーずちゃん」

「アイシャさん……」


アイシャさんは満面の笑みを浮かべて、白く綺麗な人差し指でふにふにふにふにと私の頬を突き続ける。


「あの……、なんでしょう?」

「ん?」

「えっと、私に何かご用があるのでは?」

「ううん」

「え?」

「いすずちゃんが赤いほっぺしてたから突きたかっただけ。ほっぺ冷たいね。凍土行ってた?」

「はい。でも、うまくいきませんでした」


自分が情けなくて深いため息が出た。


「なら、チームに入ってみるか?」


その声に慌てて顔を上げる。

アイシャさんがいたら、ソルさんもいるに決まっていた。


「チームですか?」

「うん。弥涼はまだどこにも所属してないだろ。どこかいいなと思っているチームが特になければ、うちのチームに入ってみないか。ひとりで難しいこととか、助け合える」

「ソルさんの、チームですか?」

「俺じゃない。アイシャがマスターだから、アイシャのチームだな」

「アイシャさんの?」


私が意外だと驚いてアイシャさんの顔を見てしまったのに、アイシャさんは気分を悪くする様子もなく、すっと背筋を伸ばして腰に手を当て、大人っぽい目つきをして見せた。


「アーカムのマスター。アイシャです」


けれどシリアスは数秒と持たなかったようで、すぐに「うふっ」と笑うと私に飛びついてきた。


「いすずちゃん、ようこそアーカムへー!」

「え、あの。私まだ入るって言ってないです!」

「じゃ、今言って!」

「えっ?!」

「はい、復唱して。いすずはアーカムに入ります!」

「えっと、あのっ。私、全然強くないです!」


断り文句のつもりでそう言ったのに、アイシャさんはキョトンとした顔で首を傾げる。


「そんなのいいよ」

「良くないです!」

「いいよねぇ?ソル」

「もちろん」


アイシャさんに同意を求められたソルさんが、私を真っ直ぐ見て笑顔でうなづく。

その笑顔にまた引き込まれそうになって慌てて顔を伏せた。

私の仕草が自身無さげ故に見えたのか、ソルさんが優しいトーンで続けた。


「心配なら、俺たちが強くなれるよう手伝うさ」


その言葉に、はっとする。

このふたりに付いて行ったら、ソルさんに付いて行ったら、私は強くなれるかもしれない。

守られる立場じゃなく、守る立場に立てるようになるかもしれない。

突然、チームに入ることが強さへの近道に思えてきた。


「えっと、じゃぁ。よろしくお願いします」


アイシャさんに抱きつかれたままの私が小さく頭を下げると、アイシャさんはパッと私を放し、うれしそうに両手を上げてくるくると回って見せた。


「わーい!4人目のメンバーげっとー」

「改めて、よろしくな」

「はい」


強くなりたい。

ひとりでダーク・ラグネに立ち向かえるくらい。

誰の手も煩わせないくらい強く、強くなるんだ。





【読み物】弥涼暮れゆく空宙の向こうに・1 byすずきささ
【読み物】弥涼暮れゆく空宙の向こうに・2 byすずきささ
【読み物】弥涼暮れゆく空宙の向こうに・3 byすずきささ
【読み物】弥涼暮れゆく空宙の向こうに・4 byすずきささ


 * * * * * *



※この物語はフィクションです。

アーカムのメンバーが登場しますが、プレイ日記やチャットのログなどではありません。

でも、個々のキャラクターは押さえてるよ!


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comment

No title

  1. 2014/06/12(木) 10:52:05 
  2. URL 
  3. ニャオ 
  4. [ 編集 ] 
今回も分かりやすくストーリーが書いてありますね
(=゚ω゚=)
優しくなれる展開もあって、面白く描かれてます(=>ω<=)アイシャさん可愛い!
あとほっぺふにふにしたい!(=´ω`=)

No title

  1. 2014/06/12(木) 15:07:42 
  2. URL 
  3. 弥涼 
  4. [ 編集 ] 
ありがとー!!
私はニャオちゃんをふにふにしたーい!!(*´艸`*)


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